見えぬけれどもあるんだよ
うわあ〜
どっちを向いても雲ひとつない青空だあ〜。
郁ちゃんがやさしい風になって、
私の頬をなでていったよ。
風を感じながら、
どこまでも歩いたよ。
いつまでも、
郁ちゃんと、話していたよ。
手前に梨畑 遠くに戸室山
星とたんぽぽ
金子みすゞ
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのやうに、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散つてすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春がくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。