春の風 7




今日のかっこちゃんのメルマガからです。
メルマガ読者、山さんからのお手紙に心打たれました。


(抜粋)
今日は2月20日。宮ぷーが倒れた日です。
二年経ちました。

今日はどんな日かな?今から病院へ行ってきます。
 病院に着いて宮ぷーに「今日で倒れて二年だね」と言いました。
宮ぷーは昨日私が読んだ日記を覚えていてくれたからでしょうか?
それとも、いつもそう思っているからでしょうか?
「今日はすべてにありがとうの日だね」と言いました。
本当にそうです。
また一年、宮ぷーは命の火を燃やして、今ここに居てくれます。
あのとき、
瞳孔も開き、内臓のどこも動かず息もしていなくて、
いつ命の火が消えてもおかしくない状態だった宮ぷーが、
今、息をし、目を動かし、身体を少し動かし、内臓を動かして、思いを伝えてくれています。


今日はお手紙をいただきました。
山さんからです。

・・・・・
はじめまして。こんにちは。
「満月をきれいと僕は言えるぞ」(三五館)
を読ませていただきました。
宮ぷーとかっこちゃん(親しく呼ばせていただきたいです。本を読んできたものですから)ありがとうございます。
住所は本を送ってくれた友達から聞きました。


どうしてもお礼が言いたくて。
私の兄は、交通事故のために、植物状態になって4年になります。
私は兄が好きで、事故の前から恋人と間違われるほど、一緒に映画に
行ったり、買い物に出かけたり、旅へ参加したりもしました。
恋人はお互いいましたが、兄の恋人は事故のあと足が遠のきました。
それは仕方がないことです。
けれど私は兄が不憫で、週に3度は、病院へ通っています。


兄は目をあけていますが、視線が定まらず口もあけたままで、
妹の私が言うのもおかしなものですが、
イケメンだった兄の姿からは想像がつかないほどの変わりようです。
それでも、私にとっては大切な兄には変わりありません。
私の彼は幸せなことに、兄の病院へ通うことに理解があり、
今年の春に結婚をすることになっていますが、その後も兄のところに来ることに賛成してくれています。


そんなときに満月の本が突然何年も音沙汰のなかった友人から送られてきました。夢中で読みました。
そして私は意識がないと言われている兄ではあるけれど、この本を兄にも読んで聞かせたいと思うようになりました。
毎日通っても、手足をマッサージするほかあまりすることもわからず、
家族の話を少しして帰ってきている状態だったので、
かっこちゃんが、宮ぷーに日記を読んでいたように、
私も兄のあいた目に自分の顔を映して本を読もうと思いました。
兄は手に少し力が入ります。
今までは「握って」と言っても握ってくれることはありませんでした。
兄の身体の上に本を置き、
片方の手で兄の手をにぎり片方の手で本を押さえたりめくったりしました。


かっこちゃん、変化はすぐに現れました。
3度目に本をカバンから取り出したときに、
兄が満月の本を目で追ったのです。
あれ?と思いました。
そして手を握って本を読みました。


4度目、
兄が本を読む私の顔をしっかりと注視していることに気がつきました。
兄の耳は聞こえている、私の本の内容も理解していると確信しました。
そして、5度目に、
兄は本を読んでいる途中に私の手を何度も握ってくれました。
お兄ちゃん、お兄ちゃんと呼ぶと兄はまた手を握り返してくれました。


それからかっこちゃんが書いてくれていたあかさたなのスキャンの練習を今はしています。
そして兄に結婚の報告をしたら、
「おめでとう」と私の名前と一緒にあかさたなで綴ってくれたのです。
こんなことは考えたこともありませんでした。
私もあきらめ、おそらくは兄もあきらめていたのです。
友達にお礼のメールをしたところ、
友達も自分のことのように喜んでくれました。
かっこちゃんの住所を教えてくれました。
レッツチャットの署名のときに知ったのだそうです。


かっこちゃん、兄は病院に入っています。
病院があるから、私も仕事ができ、安心して毎日を送れています。
けれども、疑問が沸き起こります。
兄も私もなぜあきらめなければならなかったのでしょうか?
なぜ友達が送ってくれた本の情報で今の兄があるのでしょうか? 
かっこちゃんは広まっていないからと言うのかな? 
でも私はまだしっくりと来ません。
もし、かっこちゃんのように、
「誰もが思いを持っていて、あきらめなければ伝える方法はきっとみつかる」という立位置に病院があればと思います。
家族も同じような思いでいられるのではないでしょうか?
 

今日はお礼を言うことで止めておくべきでしたでしょうか? 
本当に心から感謝し、
かっこちゃんと宮ぷーの活動をこれからは当事者として応援していきます。
・・・・・

山さん、うれしいメールをありがとうございます。
山さんがおっしゃるように、もっともっと多くの方に知っていただけるように、頑張ります。
世界中に、意思伝達の方法や装置のことなどが当たり前に知っている世の中にならなければと、さらに強く思いました。
変わっていくことは本当に難しいことです。
でも、どんなことも始まりは、1点です。
でも私は一人ではないです。
仲間がいます。
仲間と一緒に広げていきたいです。
山さんもその輪にぜひ入ってくださいね。お願いします。
                             かつこ



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