銀世界




すれ違いざま、「アリガトウ」の声が。
背の高い外人の女の方でした。
「こんにちわ」と言ってから
(あれ、私何もしてないよ・・・)
雪道ですれ違う時の習慣で、
一歩横に身を置き、無意識に相手に道を譲っていたのですね。





昨日の第872号「宮ぷー心の架橋プロジェクト」にあった詩は、
かっこちゃんからのクリスマスプレゼントだったんだと、
ハッと気がついた私でした。


・・・・・
生命は
            吉野弘


生命は自分自身で完結できないようにつくられているらしい
花もめしべとおしべが揃っているだけでは不充分で
虫や風が訪れてめしべとおしべを仲立ちする
生命はすべてそのなかに欠如を抱きそれを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分他者の総和
しかし互いに欠如を満たすなどとは知りもせず知らされもせず
ばらまかれている者同士無関心でいられる間柄
ときにうとましく思えることさえも許されている間柄


そのように世界がゆるやかに構成されているのはなぜ?
花が咲いている
すぐ近くまで虻(あぶ)の姿をした他者が光りをまとって飛んできている
私も あるとき誰かのための虻だったろう
あなたも あるとき私のための風だったかもしれない
・・・・・