ひとつの命を生きている

外出できなくなったとき、郁代は仔犬を飼い始めました。
動けなくなったときも、
ビッキーを抱いて毎日ベッドに会いに行くのがお姉ちゃんの役割でした。




「子育て中の若い人を応援してね」
「困った人を助けてあげて!」



もう残された時間がないとわかった時、郁代はこう言いました。
「私のお金もそのために使ってね」と。


異国の地で、皆さんに愛され懸命に励んで得たのです。
結婚に向けて、新生活を始めるために用意した大切なお金を、
自分の幸せのために使うことが出来なくなった・・・
その時の郁代の気持ちを考えると涙がこぼれます。


その上、郁代亡き後こんなこともありました。


退職願を出して帰国したのに最初は有給の病休扱いでした。
それだけでも十分有り難いことだったのに、
本人や家族に知らされることなく、
その後も会社に籍をずっと残してくださっていて、
亡きあと思いがけない保険金を出して下さったのです。
郁代を採用し可愛がって下さった上司の配慮に違いなく、
規定ではありえません。
「有能な幹部が、ある日突然解雇されるんだよ。
その日のうちに荷物を引き上げて会社を去っていくんだよ」
と、シビアなアメリカ企業の内情を郁代が話していたことがありましたから。


「子育て中の若い人を応援してね」
「困った人を助けてあげて!」


ああ、このときのため、
東北の被災地支援のことだったのでしょうか。
郁代の気持ちを生かすべく、
地震後には早速義援金を送らせて頂いたのでした。


突然舞い込んでびっくりした
郁代の番組が放送された「24時間テレビ」(2007年8月)。
この時も郁代の気持ちを寄付させていただきました。
郁ちゃんにまだ報告してなかったかなあ。
その年は2007年7月16日に起きた、
新潟県中越沖地震」の支援にも当てられました。
郁代のお別れの旅1
郁代のお別れの旅2



郁ちゃん、
あなたは今もブログに来て下さった方や、
昨年の3・11で被災された皆さんと出会い続けているのですね。
愛でいっぱいの宇宙や、風、空や動物と、ひとつの命を生きているのですね。