悲しみの“ユーモア”

オーストラリアに咲くジャカランダ



郁代といえば誰もが思い出すのが豊富なユ−モア。


オーストラリアの仕事仲間からも、
郁は“ユーモア”や“ジョーク”で我々をなごませてくれました
というようなお悔やみメールをたくさん頂きました。 


Iku was such a gracious, charming and friendly young lady.
She had a great sense of humour and I found it a little irresistible not to tease and joke with her.
She always took our humour and fun in a warm and reciprocal manner.
In short, I just really liked her very much」


後で知ったのですが、病状が悪化してきた時、
郁代はごく親しいシドニーの友人に、こんなメールを送っていました。


・・・・・
それで、抗がん剤治療、先週から始めたのですがこれが脱毛必至らしい。
気の早い私は早速アートネイチャーにいってカツラを注文してきました。
最初は、
「月曜金髪、火曜アフロ、水曜黒髪、…」と
週替わりで楽しもうと思っていたのですが、
カツラ一つ四十七万円と聞き、しぶしぶ一個であきらめました。
このカツラが、今のところ私の人生で最も高価な買い物です。
                      「あなたにあえてよかった」より
・・・・・



脱毛がはじまったときの、
うなだれ、落ち込む姿を見ていた私には、
深い悲しみが伝わってきました。


いまでもフッと思い出され、あふれる涙をぬぐうのでした。


郁ちゃんへ
「このユーモアが、今のところ私の人生で最も悲しいユーモアです。」