50年前の小学生と

金沢城から望む医王山(いおうぜん)

日本三百名山、新・花の百名山に選定されている (標高939m)




現在の医王山小中学校




医王山小学校の教員として、新卒1年目に1年間だけ受け持った教え子から、
「還暦記念同窓会」に招かれました。
50年前小学4年生だった彼らは60歳、
私はその一回り上で同じ辰年うしの再会でした。


場所は、大正浪漫の寵児 竹久夢二 が逗留した、
湯涌温泉「お宿 やました」、家からも近いです。


4年生といえばいたずらざかり、
新米の女先生となれば興味津々でしょう。
あの手、この手、で試します。
教室入口に“黒板消し”を挟んで、入ってきたら頭上に落とすという定番とか・・・。


子どもの微妙な心理を読み取れずに、真剣に怒るヒヨコ先生でした。
懐かしくも、恥ずかしきかな・・・。


あまり良い思い出はないだろうなと、申し訳ない気持ちでいたところ、
「先生には、歌をよく教えてもらった」
と一人の男の子(?)が口ずさんだのです。
すると、「その歌、おれも知っとる」
と楽しそうに次々歌いだしました。
幼き日の子供たちがそこにいて、胸がいっぱいになりました。
私はすっかり忘れていたけど次第に思い出され、
救われた気持ちになりました。


こんな私を呼んでくれて、みんな本当にありがとう。



あとでネット検索したら、歌詞が出ていて感動しました。


    「こんまいうま」
 

1. こんめい馬だちゅうて  ばかにすんでねえや
   今に見ろでかくなって  のっぱらをかけるだど
   おらを乗っげて疾風(はやて)のようだ  おらを乗っげてな
   おらを乗っげて疾風(はやて)のようだ  おらを乗っげてな

2. こんめい馬だちゅうて  ふれていくでねえや
   やろうんとこの  じんじ馬め  やせ声で鳴きくさる
   やろうにぶたれて 一泡吹いて  やろうにぶたれてな
   やろうにぶたれて一泡 吹いて  やろうにぶたれてな


3. こんめい馬だちゅうて ばかにすんでねえや
   めんこいどでかくなって  村中をかけるだど
   おらを乗っげてゆっくり行くだ  おらを乗っげてな
   おらを乗っげてゆっくり行くだ  おらを乗っげてな



その後、6年生になった女の子が三人、
「結婚したばかりの先生の家へ遊びに行って来よう」と、
我が家を訪ねてきたことがありました。
医王山の麓の二俣から朝7時に出て、
子供だけで4時間かけて歩いてきたのです。
しっかり者のリーダーがいて、
帰りも同じ方向で進むと、金沢1周できるという計画が出来ていました。



後で聞いたところ、夕方5時ころになっても家に着かなくて、
車を止めて乗せてもらったんだとか。
のどかな時代が終わりをつげるころのこと。
我が家にマイカーがやってきたのは、それから3年後のことでした。
この時の三人、さとみちゃん、しいちゃん、かずみちゃんにも会えました。



あの日の事を思い出すと、
映画「二十四の瞳」の、子供の作った落とし穴で怪我した女先生を訪ねて、岬を歩く子ども達の姿が重なるのです。





                            (つづく)