村田省蔵展

郁代ともご縁のあった村田省蔵氏。
石川県立美術館で、『村田省蔵展 −画業60年の歩み−』を観てきました。
傍らには、郁代が寄り添っていましたよ。


春耕  平成17年 第37回日展 恩賜賞・日本芸術院賞

寒さの中に凛として立つ新潟県の稲架木(はさぎ) 人生にも似て  
「日本の残したい農村の風景」として、描き続けられています。


雪明け 昭和51年 第8回日展 金沢市

「一番金沢らしい風景」とのコメント。
私のブログにもよく登場する浅野川「天神橋」のあたりです。


大学を卒業してすぐ、郁代は旅行会社の海外ツアー部にいました。
その頃、各界の名士が参加する「豪華ヨーロッパ一周の旅」の添乗員を務めたことがあります。
「有名人ばかりだから責任重大」と重荷に感じていたようですが、
「決めたからには皆さんに満足してもらうよう誠意を尽くす」
というのが郁代のモットーでした。


旅行後、一人一人に感謝を込めたお礼の手紙を差し上げたようで、
村田省蔵氏からもお礼のお葉書が届いたのです。
直筆のスケッチが添えられていて、郁代はとても大切にしていました。


スペインの思い出  闘牛士のスケッチ


オーストラリアに渡る前年のことでした。


「あなたにあえてよかった」を書いたとき、
「お葉書の本文とスケッチ、記念に載せさせてくださいませんか」
村田省蔵氏にお願いしたところ、快諾してくださいました。
その上“お供えのお花”まで送って頂き、有難くて涙がこぼれたのでした。


村田省蔵氏は昭和4年(1929)金沢市生まれ。
金沢美術工芸専門学校(現金沢美術工芸大学)の第一期生として油彩画を学び、高光一也、宮本三郎の薫陶を受ける。
在学中より日展、光風会に入選し、卒業後、洋画家として立つことを決意して上京、小絲源太郎に師事し、風景画を主軸に制作に励む。
日展を発表の場とし、平成18年日本藝術院会員に推挙された。