雪の中
とおいその音をきくときに、
凍ったこころはとけました、
みんな泪になりました。
金子みすゞさんの『林檎畑』を思い出します。
深くやさしいまなざしに、
私の凍ったこころはとけました。
林檎畑
金子みすゞ
七つの星のそのしたの、
誰も知らない雪国に、
林檎ばたけがありました。
垣もむすばず、人もいず、
なかの古樹の大枝に、
鐘がかかっているばかり。
ひとつ林檎をもいだ子は、
ひとつお鐘をならします。
ひとつお鐘がひびくとき、
ひとつお花がひらきます。
七つの星のしたを行く、
馬橇の上の旅びとは、
とおいお鐘をききました。
とおいその音をきくときに、
凍ったこころはとけました、
みんな泪になりました。