塔和子さん「涙」


 命の詩人また会えた
吉永小百合さん交流10年〜


大島の青松園にまた足を運んでください――。
俳優の吉永小百合さんが24日、香川県ハンセン病療養所であった映画の上映会の席で、こう呼びかけた。
塔和子さん(83)の詩を朗読した縁で、島との交流が生まれて10年。
新たな縁を願い、島内外の人たちを招いた。

 瀬戸内海の療養所「大島青松園」で、吉永さん主演の映画「北のカナリアたち」の上映会があった。
 入所者のほかに、島の外に暮らす100人が招待された。
映画を見るためにきた人たちが島の歴史にも触れ、縁がうまれたら。
そんな思いで吉永さんが企画し、実現させた。
                        (朝日新聞3月25日)


塔和子さんの詩が載っていました。



「涙」
あるとき
死のうと思った私が夫に
「一生懸命なのよ」と言うと
夫は
「同じ一生懸命になるのなら
生きることに一生懸命になってくれ
がむしゃらに生きようではないか」
と言ってくれた
私は目が覚めたように
そうだと思った
どんなに懸命に生きたとしても
永遠に続いている時間の中の
一瞬を
闇から浮き上がって
姿あらしめられているだけだ
   いのち
   この愛(いと)けないもの
思いっきりわが身を抱きしめると
きゅっと
涙が
にじみ出た


「親鸞さまはなつかしい」で、多磨全生園を紹介させて頂いたばかりです。