もう おてあげ

娘さんの癌が進行し、苦悩している知り合いの方がいらっしゃいます。
娘さんには三人のお子さんがいて、年齢も鈴木章子さんと同じくらいです。

郁代が闘病中何度も読んだ『癌告知のあとで』を、改めて読んでいます。
お母さんの気持ち、娘さんの気持ちを思い読んでいると、
郁代と過ごした時間まで遡ります。

『癌告知のあとで』   鈴木章子著 探究社
 


慎介

生死おまかせの身と
しってはいても
如来さまと二人連れと
知ってはいても
慎介と話していると
たまらなく
さみしくなる
せめて
慎介の成人がみたい
おおきくなれや 慎介
強くなれや 慎介


転んだときの
拾いものの
大きさを知っているのに
いつも
子供達が転ばぬよう
心配している
変だなあ


犀川


卓球

我が子の悲しみを思うと
あの少年らしい清清しさに
見事にきまったスマッシュに
拍手もできず
相手のミスに
“ラッキー”と叫んでいる
愚かな母が ここにいる
目連尊者のお母さんのお話を
ふと思い出しました


幸福をよぶ茶

誰から私の病を聞いたのか
「幸福をよぶお茶」というのを
売りに来た
癌の末期患者が治るとの事
「いつ死んでもよし」と
生への執着離したつもりが
こんな話きく度
ふと そんな気になる
仲仲 離しきれぬ手を見せてくれる


もうお手上げ

疑っても
つついても
こわそうとしても
どうしようもない
南無阿弥陀仏の働きに
会ってしまった
見てしまった
気づいてしまった
私の頭では
もう こわせぬ
もう おてあげ


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「また明日会えるといいね」

大きな御手の中