「リーチ先生」

金沢の今日の気温35℃
街を歩くと“きゅうり”のグリーンカーテンが・・・珍しいですね。

日本を愛し、日本人からも敬愛された英国人陶芸家バーナード・リーチ をめぐる物語が、
北國新聞(地方紙7紙)で連載中です。
日本民藝館設立にも関わった激動の人生、
当然ながら柳宗悦河合寛次郎濱田庄司も出てくるでしょうから、
とても興味があります。

「リーチ先生」     原田マハ  
        第一章 春が来た(46)
(抜粋)
濱田、河井両先生が若い陶工たちに指導するのを間近に見て、
高市(こういち)は、いよいよ自分もろくろを使ってみたくなったのだ。
濱田と河井が帰って、今日からはリーチの指導がいよいよ始まる。
何を指導するのかわからないが、
自分もその指導を受ける「ラッキー」な「チャンス」ではないか。

リーチは、穏やかなまなざしを高市に向けていたが、やがて言った。
「ろくろを使うことが陶芸のすべてではありません。
畑仕事も大事な作業のひとつだと、わたしは思います」
高市は、胸の中でぱんぱんに膨らんでいた期待が、急速にしぼむのを感じた。

ええ、そんなあ。
ろくろ使うんが、焼き物作りの一番大事なことじゃねーですかあ?

「君の先生が、畑仕事を君にさせるのは、
それが小鹿田(おんた)の陶芸の歴史だからです」
二百何十年もの間、半農半陶の生活を営んできた小鹿田の流儀を、
まずは身につける必要があるのだ、と。

☆原田 マハ
      森美術館ニューヨーク近代美術館に勤務後、
2002年 フリーのキュレーターとして独立
2003年 カルチャーライターとして執筆活動を開始
2005年 『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞受賞
2012年 『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞受賞
     第147回直木賞候補
     第10回本屋大賞第3位
2013年 『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補