暑中見舞い

看護師のトモミさんは郁代の最期を看取るため、
遠い愛知県から毎週のように来てくださいました。
ワーキングホリデーで出かけたシドニーで出会い、
ルームシェアしたことがある、切っても切れない親友でした。

郁ちゃん
あなたが旅立ってからトモミさんには“たいきちゃん”が、
お兄ちゃんには“みくちゃん”が生まれました。
今は2年生と1年生の二人ですが、とっても仲良しです。
トモミさん親子が、毎年郁ちゃんとビッキーに会いに来てくれるからです。

「たいきちゃん、ことしもきてくれるかなあ」と、
みくちゃんがつぶやいていたら、
少し前に、たいきちゃんから暑中見舞いが届きました。

授業の一環として、知り合いに“かもめーる”を出すことになったようです。
お母さんが「誰に出す?」と聞いたところ、“間、髪を容れず”
「かなざわのおばあちゃん!」と。

    しょちゅうおみまい もうしあげます。
    かなざわのおばあちゃん、ぼく たいきだよ。
    おばあちゃんはげんき?
    ビッキーもげん気かな?
    たいきは いま2年生だよ。
    もうすぐ1がっきがおわって なつやすみ。
    たいふう8ごうが こなければいいんだけどね!!

お母さんからの連絡では、
今年も郁ちゃんの誕生月の10月においでるそうです。

ああ、どうしよう、
がっかりするだろうなあ。

大好きなビッキーに会えるのを楽しみにして、
1年間首を長くして待っていたのに・・・。

ビッキーは病気になって、今年の3月、
突然郁ちゃんのところへ行ってしまったのだよ。

ごめんね、たいきちゃん。