谷口吉郎・谷口吉生展

金沢市民芸術村

金沢が生んだ二人の建築家[谷口吉郎谷口吉生]展が金沢市民芸術村 で開催中です。
兼六園から歩いて30分のところ、ウオーキングにちょうど良い距離なので行ってきました。
日本建築の原理を追求した鈴木大拙館(2011年)を完成させた谷口吉生氏、
会場で拝見できてうれしかったです。

「鈴木大拙館」

開催概要より

長い歴史をもつ城下町・金沢は、江戸時代(藩政期)の武家屋敷や木造の町並みが今も当時の面影そのままに残されています。
また、本展の会場となる紡績工場を再生させた金沢市民芸術村(1996年)をはじめ、明治時代以降のレンガ造りの建物など、多くの近代建築についても、大切にされて保存活用が図られてきました。
さらに、金沢市においては、近年、新しく美術館や図書館などの公共建築が建設され、それらの斬新な現代性も多くの注目を集めています。

この展覧会では、そんな歴史と現代が交錯する金沢が生んだ二人の建築家、
谷口吉郎(1904〜79年)と谷口吉生(1937年〜)の親子二代の仕事を通して、
日本の近現代建築が切り拓いた独自の地平と世界へと通じる広がりを紹介します。

谷口吉郎は、藤村記念堂(1947年)や東宮御所(1960年)、
ホテルオークラ(1962年)に代表されるように、伝統的な木造の文化に根差した、清らかでありつつも、どこか華麗な抒情性を湛える静的な建築を目指しました。

一方、谷口吉生は、土門拳記念館(1983年)や丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(1991年)、豊田市美術館(1995年)など、
洗練された現代的な素材や構法を用いて、
人々が歩むに従って次々に風景が展開していく、
より環境との関係性を重視した透明感あふれる動的な建築を求めてきました。

また、そのことによって世界へと通じる普遍的な建築美学を獲得し、
アメリカのニューヨーク近代美術館(2004年)を実現させたのです。

そして、これまでの集大成であり、新たな挑戦ともいえる、
日本建築の原理を追求した鈴木大拙館(2011年)を完成させます。

この展覧会は、共に明晰な建築思想と凛とした精神性をもつ二人の建築家の仕事を、
清らかな意匠から透明感のある環境造形へ、という視点でとらえ、
長い思索を通して受け継がれ、深化されてきた建築思想の神髄に迫ります。

そして、二人が切り拓いた豊かな建築の世界を通して、
建築とは何を実現することなのか、
その集積としてのより良い都市を築くためには何が大切なのか、
金沢という町とのつながりを含め、広く建築文化と都市環境の意味について考えます。