預かったままの贈り物

郁ちゃんへ『風の電話』です。

あなたが旅立ってから何年後だったでしょう。

「ごめんください!」
玄関を開けると外はどしゃぶり。
そこに見知らぬ男の人が雨に濡れて立っていました。
「郁代さんへこれを・・・」
シドニーのSという日本企業に勤めている方で、
「仕事上お世話になった」とだけ言われました。

突然の訪問で、名前も告げずに、
濡れたまま走り去って行かれました。

包みを開けると・・・“BONIA”の素敵なバッグ

あなたが亡くなってからメッセージを頂いた方は国内から30人、
海外から30人ほど。
海外からであってもすべてサイン入りで、
この方々は会社の同僚、この方達はテニス仲間・・・、
ルームシェアした仲良し・・・などと、
文面から郁ちゃんとのつながりが大体わかったものです。

預かったままの贈り物、
風の電話にのせて届けます。
郁ちゃんなら、Sという企業名を聞けば送り主がわかることでしょう。

バッグを眺めていたら、なぜか涙が出てきました。