願われていたわたし

あれは震災から一年後、三年前の今日でした。

残っているアルバムといったらほとんどが旅の写真。
「郁ちゃんは冒険好きだったなあ」
これまで開けたことがなかったアルバムの中から、
「カナダ」
を手に取り眺めていたら・・・

コロンビア氷原のアサバスカ氷河から流れる アサバスカ滝
あなたががひょっこり顔を出しました。

「エヘヘ、みんな元気?私はここにいるよ」



「郁ちゃんはここにいたの?」
胸がいっぱいになりました。

滝の源流、ジャスパー国立公園
コロンビア氷原


珍しくこの写真だけに日付けが入っていて・・・・・・・なんと
杖の先には   「93・3・11」

 
ああ、びっくりした!!

はじめて見る写真が、なぜ「3・11」だったのでしょう?
見るのはいつでもよかったのに、なぜ「特別な日」の前日だったのでしょう。

またまた郁ちゃんのサプライズです!
大学の卒業記念に出かけたのですね。

そういえば、
「働いて返しますから、どうかお金を貸してくださいませ」
と『借用証書』を差し出したことが一度だけありましたね。
後で義理堅く返済しましたよ。

他にも、
ヨーホー国立公園エメラルド・レイク


バンフ国立公園
レイク・ルイーズ


美しい写真の数々、わたしまで旅行気分を味わったのでした。

郁ちゃん
カナディアン・ロッキーの旅に連れて行ってくれて有り難う。

「今度また、連れていってあげる」
って言ってたけど、このことだったんだ!!
あなたも、星野道夫さんが愛した「遠い自然」にあこがれていたんだねえ〜。

そしてあの日、
「東北の亡くなった方々と一緒に、遺された皆さんの幸せを願っていますよ」
と伝えたくて、会いにきてくれたんだね。

本当は、私たちが亡くなった方々から願われていたのだと、
胸が熱くなりました。

今日も会えてうれしかったけど、
やっぱり涙が出てなりませんでした。

「3・11」
決して忘れることはありません。