『櫻の園』

桜の季節に、劇団エイコーン『櫻の園』を観ました。
近代演劇の金字塔、チェーホフ最後の作品。

主演が栗原小巻でラネフスカヤ夫人を好演。
チェーホフの戯曲を、奇をてらうことなく真正面から取り組んだ、
重厚で格調高い舞台でした。

ロシアの地主階級の没落を描いたもので、単純明快なストーリーです。

主人公の女領主ラネーフスカヤとその娘がパリから帰ってくる春。

借金で抵当に入っている領地と屋敷がとうとう競売に掛けられる夏。

主人公一家やその周りの人たちが屋敷を明け渡して散り散りになっていく秋。

女領主は、かつての農奴で今は実業家として成功しているロパーピンから
「領地を分割して別荘地として貸し出せば、多額のお金が手に入り、
土地を人手に渡さずに済む」
と助言されても、
別荘で景観が損なわれることと、櫻の木を切り倒さないといけないことから頑として聞かないくらいに、「櫻の園」を愛しています。

ラネーフスカヤはあくまで「領主」であり誇り高い人物ですが、
それでも人間臭さを感じさせる作品でした。
舞台最後の、桜の木を切り倒す斧の音が心に残っています。

凛として優雅な栗原小巻に会えたのは久しぶりでした。
張りのある声も衰えていませんでした。

一緒に観た夫は、
風と共に去りぬ」を思い出した・・・と。


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朝ドラ「まれ」 第二回より  能登を表す言葉

  「能登はやさしや 土までも」
  
  「とと楽」・・・母ちゃんが働き者で、父ちゃんが楽(らく)をすること