いつかおまえに会いたかった

動物写真家の星野道夫さん。

アラスカに住み、カリブーやグリズリーなどの野性動物など素晴らしい写真を撮っていましたが、 カムチャッカ半島のクリル湖畔で、
テレビ番組の取材中にヒグマに襲われて亡くなりました。

魂をゆさぶる写真と言葉の数々、
私が悲しみの中にいる時、どれほど癒されたでしょう。
星野道夫さんの世界で、郁代に出会えるのでした。


ALASKA 2(旅立ち)


さまざまな夢を抱いて  
ぼくはアラスカにやってきた

大切なことは出発することだった

いつかおまえに会いたかった

ぼくがこどものころ
頭をなやましていたのが 
北海道のクマのことだ

僕が都会に住んでいるとき、
そいつはどこかの山の
木をのぼっていると思うと、
不思議で不思議でならないのだ

人間のためでも誰のためでもなく
それ自身の存在のために
自然は息づいている

もし熊が存在しないなら
僕はこの土地に来ないだろう

この広大な土地が自分ではなく
この熊に属していることを知る


星野道夫紹介
1952年 千葉県市川市に生まれる 
1971年 初めてアラスカに渡り、
    シシュマレフ村でエスキモーの家族とひと夏を過ごす
1976年 慶応義塾大学経済学部卒業 動物写真家田中光常氏の助手となる
    アラスカ大学野性動物管理学部に留学
1986年 第3回アニマ賞受賞
1996年 取材先カムチャッカ半島クリル湖畔でヒグマに襲われ急逝       


きっと、同じ春が、
すべての者に同じよろこびを与えることはないのだろう。
なぜなら、よろこびの大きさとは、
それぞれが越した冬にかかっているからだ。
冬をしっかり越さないかぎり、春をしっかり感じることはできないからだ。
それは、幸福と不幸のあり方にどこか似ている。    
           「Michio's Northern Dreams オーロラの彼方へ
                            (再掲)