2015-11-19 禍福は 折々のことば 人参畑 〈折々のことば〉 219 鷲田清一 禍福は糾(あざな)える縄の如(ごと)し ことわざ食でも性でも、満たされた後、それ以上は苦痛でしかなくなる。 病苦は、ときにそれをきっかけとして家族に固い絆をもたらす。 一代で財をなした人は財産のわずかな目減りにも強い不安を抱く。 このように禍(わざわい)と福は紙一重、すぐ裏返る。 こういうさめた目をもつかどうかが、 人生のありようを意外に深いところで決めている。 司馬遷「史記」の記述に基づくことわざ。 (2015.11.12)