禍福は

人参畑
 


〈折々のことば〉  219  
                     鷲田清一    

禍福は糾(あざな)える縄の如(ごと)し
                           ことわざ

食でも性でも、満たされた後、それ以上は苦痛でしかなくなる。
病苦は、ときにそれをきっかけとして家族に固い絆をもたらす。
一代で財をなした人は財産のわずかな目減りにも強い不安を抱く。
このように禍(わざわい)と福は紙一重、すぐ裏返る。
こういうさめた目をもつかどうかが、
人生のありようを意外に深いところで決めている。
                     司馬遷史記」の記述に基づくことわざ。  
                                (2015.11.12)