カリフラワー
〈折々のことば〉 283 鷲田清一
忘れてええことと、忘れたらあかんことと、ほいから忘れなあかんこと
河瀬直美
神隠しにあったのか、幼い息子が行方不明になってかなりの時間が経つ。
その父親が自分に言い聞かせるかのようにこうつぶやく。
大切な人を失ったひとは、
いつかはその人の不在を前提に人生を組み立てなおしてゆかざるをえない。
何を軸に?
それは思い出の仕分けでもある。
社会が瓦解(がかい)しつつあるときもきっと同じことが言えるだろう。
監督の映画「沙羅双樹」の中から。
2016・1・17