難波の春は夢なれや 

雪の朝

今日の詩吟教室は気分を変えて「和歌」でした。

   津の国の 難波の春は夢なれや 葦の枯葉に風わたるなり 
                                  『新古今集
西行法師(1118-1190)の歌で、
能因法師(998-1050頃)の『後拾遺和歌集

   心あらむ 人に見せばや津の国の 難波わたりの春のけしきを

への返歌。

能因の歌は、わかってくれる風流人と、
この難波の春を共に語り合いたいよ、という歌。

「心なき」風流人、西行の方は、「夢なれや」。
「なり」の已然形、疑問の「や」で、「難波の春とは、夢だったのか」。
ただ葦の枯葉をわたる風だけが…


これを本歌にしたのが、豊臣秀吉の辞世とされる歌。

    露とおち 露と消えにしわが身かな 難波のことも夢のまた夢

「難波のことも」の「も」がいいですね。