「わたしで よかった」
六歳上の私の姉が郁代と同じ病気になりました。
体の異変に気づいたときには、病状はかなり進んでいました。
子供や孫の誰かではなく、
「わたしで本当によかった」
と言いました。
五年前に若くして亡くなった郁代の無念さを思ってのようでした。
代われるものなら代わってやりたかった・・・・・。
「お母さんの代わりに、
郁ちゃんが病気にならなくてもよかったのに・・・」
「お母さんではなく、わたしでよかったよ」
郁代はそう言ったのでした。
思い出すと、涙がとまりません。