「わたしで よかった」

兼六園

かきつばた咲いた。



青葉が目にしみる。



六歳上の私の姉が郁代と同じ病気になりました。
体の異変に気づいたときには、病状はかなり進んでいました。
子供や孫の誰かではなく、
  「わたしで本当によかった」
と言いました。


五年前に若くして亡くなった郁代の無念さを思ってのようでした。


代われるものなら代わってやりたかった・・・・・。
  「お母さんの代わりに、
   郁ちゃんが病気にならなくてもよかったのに・・・」


  「お母さんではなく、わたしでよかったよ」
郁代はそう言ったのでした。


思い出すと、涙がとまりません。