「人生が二度あれば」

星野富弘さんの新刊『種蒔きもせず』に、心が温かくなりました。



中に、こんな一節があります。


いのち
・・・・・
植物の生命力には本当に驚ろかされる。
捨てられた蕪から芽が出て花が咲いている。
道路が盛り上がっていると思ったら、
アスファルトを割って土筆が出てきた。
大怪我をした時、
病院のベッドの上で「人生が二度あれば」と思ったことがあった。
しかし、今の人生を精一杯生きられないで、
どうして二度目の人生を生きられるだろうかと気付いた。
どんな生物でも、生まれる時と場所を選ぶことはできない。
もし、生まれ変われたとしても、平和な時代とは限らないのだ。
崩れたコンクリートの隙間で産声を上げるかも知れないのだ。
こんな私をじっと見守り助けてくれる人たちがいる。
これは素晴らしいことなんだ。
・・・・・


郁代が友人に、
「人生が二度あればいいのにね」
と言っていたことを思い出しました。


最期の夜には、こう言いました。
「会いたい人、みんなに会えてよかった。
これまで、お母さん、完璧やったわ。
必要なもの、必要なことが、いつも直ぐに用意されていたもの…」