山の学校

金沢城から見る医王山(939m) 金沢市HPより 


今から50年前、私が新卒で赴任したのは医王山の麓の医王山小学校、
4年生34名の担任でした。
新米の女教師は、腕白盛りの男の子にとって、
いたずらするには格好の相手だったはずです。
毎日何かが仕掛けられ、
カッカッカッとなった私は毎日叱っていたのを覚えています。



昨日、彼らから同窓会に招かれました。
「初めての担任の皆さんを忘れたことはありません。
 叱ってばかりでごめんなさい」
と謝りました。


女生徒
「Oくんなんか、黒板拭きを教室の戸に挟んで、
 先生が入ってきたら頭の上に落ちたんよ」
「Yくんなんかもっとひどかったよ。
 バケツの水、バシャっとかかったんよ」
「Sくん、ちりとりで先生を叩いたのおぼえている?」


男生徒
「いたずらは、あのう、そのう・・・、
 可愛い女先生への淡い恋心でしたことで・・・注目されたくて・・・」


女生徒
「いじめられる先生が、かわいそうでかわいそうでならなかったのよ」


その時は気がつかなかったんだけど、
男の子の“淡い恋心”のようなものが、
あのような“いたずら”になったんだなあって、
私もずっと後で分かったよ。


離任して二年後、
6年生になった女の子たち数名が、我が家へ遊びに来たことがあります。
今のように車もなく、バスも不便だった時代、
どうして来たのかなあと思い出していたら、
「先生が大好きだったから、片道3時間、
 みんなで歩いて先生の所に行ったよ。
 帰りは疲れて泣きたくなったんよ」


ああ、「二十四の瞳」の世界のよう!!
往復6時間歩いて泣きたくなったという、なつかしい強烈な思い出。
現代の子供たちに、一生の思い出は残るのでしょうか?


「今でも大好き!」と言ってお互いに抱き合ったのでした。


戸室山の後方に位置する医王山(いおうぜん)、
ふりむけば山頂だけが家の近くから眺められます。