七夕





   

   七夕の笹            
                     金子みすゞ

   
   みちを忘れた小雀が、
   濱でみつけた小笹籔。


   五色きれいな短冊は、
   籔のまつりか、うれしいな。


   かさこそもぐつた藪のなか、
   すやすやねんね、そのうちに、
   お宿は海へながれます。


   海にしづかな日が暮れりや、
   きのふのままの天の川。


   やがてしらじら夜があけて、
   海の最中で眼をさます、
   かはい小雀、かなしかろ。



「もう、保育園の階段が上がれなくなった・・・」
隣の保育園へ七夕飾りを見に行った郁代が、
帰ってからつぶやきました。
オーストラリアから見舞いに訪れていた、
友人のサニーを案内したのでした。


七夕になると、
郁代の悲しさが思い出され、涙が出てきます。