やわらかいいのち

神社の落ち葉の中から  み〜つけた





毎日届くかっこちゃん( 山元加津子)のメルマガより抜粋させていただきます。


第934号 宮ぷー こころの架橋ぷろじぇくと  
                2012年2月25日現在 参加者人数5204人
 


このメルマガは、中学生や高校生の方も読んでくださっていて、
時折質問をくださいます。
いつも思い悩みながら、揺れながら、毎日を送っている私が、
お答えできるようなことは、なかなかできなくて、
でも、みなさんが、勇気を出してくださったメールに、ただ、私も
自分のできる一生懸命で答えたいなあと思います。


中学生の男の子、拓くんからのメールです。
「かっこちゃん、僕はひとりでいるのが楽で、一人でいるのが好きです。
それなのに、“ひとりでいることが多い”と悪いことのように、
学担が親に話したり、通知表に書かれるのは納得できません。
ひとりが何が悪いんだと思う。
ほっといてほしいと思います。かっこちゃんはどう思いますか?」


拓くん、メールありがとうございます。
拓くん、私もひとりでいることが好きなのは悪いことではない、
悪いことのように考えるのはおかしいんだって、
拓くんのメールをもらって改めて思いました。
いえ、悪いことだと思っていたわけじゃないのです。
ただ、いつもひとりでいたお子さんが、お友達と笑いあっている姿を見ると、私もうれしくなったりします。
その心のどこかに、
ひとりはいけないという思いがあるのだろうか?
それともそうじゃないのだろうかと、自分で今、考えたのです。
いろんなことを考えました。
私がうれしくなったのは、私の大好きなそのお子さんが、
笑っている、誰かと心を通わせている姿がうれしそうなのが、
うれしいのだと思います。
たぶん、そのお子さんが大好きだから。
拓くんの先生はどんな気持ちだったのかな?


私はすごく寂しがりやのくせに、
でも、一人になれる時間もほしいと思います。
その理由は、
私の場合は、やはり、メルマガの日記を書くときは、一人でいたい。
でも、一人でいるようで、メルマガを読んでくださっている方と心を通わせる時間にしたいのであって、
もしかしたら一人でいるわけではないのかもしれません。


本を読んでいるのが楽しい。
そのときも、実は一人でなくて、
本の中の人と心を通わせているのかもしれません。
誰かを想うときも、やっぱり一人のようで、一人じゃない。
やっぱり、一人ではいられないたちなのかもしれませんね。


そして、もうひとつは小さい頃お友達の中にいて、お友達の輪の中で、
たとえば、誰かのうわさ話を聞いたり相づちをうつのが、
苦手だったのかもしれません。
それよりは一人でいたかったのかな?
なんだかいろんなことを考えました。


美っちゃんから
「かっこちゃんは死にあこがれたことがありますか? 
私たちはどうせ死ぬのに、どうして生きるのでしょう。どうせ死ぬのに」


美っちゃん、私たちは美っちゃんの言う通り、どうせ死にます。
どうせ死ぬけれど、でも、なぜ、
私たちはどうせ死ぬのに生きることができたのかなあと思うのです。
蝉や蝶や蛙も、どうせ死ぬのに、どうして、この世に存在するのでしょう。


昨日、今、アフリカで写真を撮っている写真家の野村哲也さんから、
ぽつんと夜中にスカイプのメールが届きました。
「姫、お元気ですか?」
と書いてくださっていました。
私は「ありがとうございます。元気にしています。頑張るのです。
人生一生懸命楽しく頑張ります」と書きました。
哲也さんは
「涙が出ることば、ありがとうございます。僕も頑張ります」
と書いてくださってありました。
私や哲也さんが「頑張る」と言ったのは、
がむしゃらに無理をして頑張るのだ、
頑張るのがいいのだという意味ではないのだと思います。


私たちは、なぜ生まれたのかというと、
私たちはこの宇宙に、
この銀河にとても必要な存在だったからと私は信じています。
必要ならば、私には私の存在価値、存在意味があるはず。
宇宙もそんな私を応援して、愛し続けてくれているはず。
私たちはそれぞれ、誰もが本当は、ひとりだけど、
でも、決してひとりじゃないんだということを、
私はなんとしても、拓くんや、美っちゃんにお話したいのです。
そして、実は自分に言い聞かせているようにも思います。


私たちは誰も一人じゃない。
愛されて、みんなでひとつの命を生きているだ、
だからだいじょうぶなんだと言い聞かせて、
毎日をすごしていようと思います。
そう思うことは私にとっては、すごく大きな勇気になるのです。


拓くんに、美っちゃんに紹介したい詩があります。
谷川俊太郎さんの詩です。
この詩には
「思春期心身症と呼ばれる少年少女たちに」
という副題がついています。
でも、私はたぶん俊太郎さんが、
いっそう今おつらい少年少女のみなさんに心を寄せて、
元気でいてほしいと思って書かれたもので、
でも、人はいつも心を揺らすものだし、
つらくなったり、不安になったりするものだし、
思春期ならいっそうそうだから、
きっと谷川俊太郎さんは、誰もに書いてくださったような気もするのです。


中にはときどきどきりとするような言葉もあります。
けれど谷川俊太郎さんは、
きっと、目の前の誰もが愛される存在で、
大切な存在だということをきっと教えてくださっているのだと、
そんなふうに思います。



・・・・
やわらかいいのち 
  ─思春期心身症と呼ばれる少年少女たちに─
              作詞:谷川俊太郎  作曲:新実徳英



   1
どうしたらいいの どうしたらいいの 
問いかけるあなたの言葉が 私の中に谺(こだま)する 
答えのない私の中に─ 
どうしたらいいの どうしたら
私の中にあなたがいる 
ひっそりとひとりで立ちつくしている 
心はもつれあった灰色の糸のかたまり 
だがその糸が私とあなたをむすんでいる 
どうしたら どうしたらいいの 
問いかけることであなたは糸の端を 
しっかりと握りしめている



   2
あなたが歩くことのできるのがおどろきだ 
あなたがごはんを食べているのが 
歯をみがくのが私にとっておどろきだ 
あなたのふたつの眼から 
涙のにじみ出てとまらないのがおどろきだ 
あなたは海をみつめて放心している 
その顔にかくされた美しさがおどろきだ 
そしてもしもあなたが死ねるとしたら…死ねるとしても─ 
そのことの中に私は 
あなたのいのちの輝きを見るだろう 
私たちの生きる証しを見るだろう



   3
怒りながら哀しんでいる 
戸惑いながら決意している 
突き放しながらしがみついているひとつの顔 
世界中でたったひとつのあなたの顔 
その顔はかくしている 
誰にも読みきれない長い物語を 
拒みながら待っている 
謝りながら責めている 
途方に暮れながら主張しているひとつの背中 
かたくなにみずからを守るあなたの背中 
その背中は呟いている 
自分にもつなげないきれぎれな物語を



   4
どこへ帰ろうというのか 
帰るところがあるのかあなたには 
あなたはあなたの体にとらえられ 
あなたはあなたの心に閉じこめられ 
どこへいこうとも 
あなたはあなたに帰るしかない 
だがあなたの中に 
あなたの知らないあなたがいる 
あなたの中で海がとどろく 
あなたの中で木々が芽(め)ぶく 
あなたの中で人々が笑いさざめく 
あなたの中で星が爆発する 
あなたこそ あなたの宇宙 あなたのふるさと



   5
あなたは愛される 愛されることから逃れられない 
たとえあなたがすべての人を憎むとしても 
たとえあなたが人生を憎むとしても 
自分自身を憎むとしても 
あなたは降りしきる雨に愛される 
微風(そよかぜ)にゆれる野花に 
えたいの知れぬ恐ろしい夢に 
柱のかげのあなたの知らない誰かに愛される 
何故ならあなたはひとつのいのち 
どんなに否定しようと思っても 
生きようともがきつづけるひとつのいのち 
すべての硬く冷たいものの中で 
なおにじみなおあふれなお流れやまぬ 
やわらかいいのちだからだ
・・・・・



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