はるのかぜ


やさしく深い言葉で命の貴さをうたいあげた詩人のまど・みちおさんが、
28日老衰で亡くなられました。
104歳でした。
このブログでもたくさんの詩を紹介させて頂き、有り難うございました。

孫のSちゃんの通った保育園では、
まどみちおさんの詩”を、卒園式に一人ひとりが暗唱していました。
Sちゃんの発表した詩は、「はるのかぜ」でした。

     

    はるのかぜ          まどみちお


    わたしのほほに きてさわる  
    やさしいかぜの ゆびさきに 
    はなのにおいが しみている
    ああ おかあさん もうきてる  
    いつかのおかに  あのみちに  
    はる はる はるが もうきてる


    わたしのみみに きてならす  
    やさしいかぜの おんがくに  
    ことりのうたが ながれてる
    ああ おねえさん もうきてる  
    いつかのかわに あのきしに  
    はる はる はるが もうきてる


    わたしのまどを きてみがく  
    やさしいかぜの ハンカチに  
    きんのひかりが はねている
    ああ おとうさん もうきてる  
    いつかのやまに あのそらに  
    はる はる はるが もうきてる


Sちゃんは、可愛がってくれていた郁ちゃんに
国際電話でこの詩を暗唱していたね。得意そうに・・・。


この年の暮れ、帰国したとき、
あなたは体調の違和感を訴えたのでした。


その二年後、妹Aちゃんが卒園式で発表したのは“うさぎ”、
あなたは出席して聞いていました。
再発がわかってシドニーから帰国、外出が困難になリ初めていました。

    

    うさぎ           まどみちお


    うさぎに うまれて 
    うれしい うさぎ
    はねても
    はねても
    はねても
    はねても
    うさぎで なくなりゃしない 


    うさぎに うまれて
    うれしい うさぎ
    とんでも 
    とんでも
    とんでも
    とんでも
    くさはら なくなりゃしない


うさぎは、ただただうさぎに生まれた喜びに
あふれているんだよ。

Aちゃんの「うさぎ」を聞いた5か月後、あなたは帰らぬ人となりました。

郁ちゃん
Sちゃんはあなたの通った高校に入り、春になると2年生になりますよ。

いまごろ、無限の宇宙でまどさんと握手しているあなたが浮かんできます。