母はすぐ隣にいます

『同朋』7月号 は、糸井重里さんの“巻頭インタビュー”に続いて、
中島岳志さん(北海道大学准教授)と鷲田清一さん(大谷大学教授)による対談
『絆から縁へ』でした。


鷲田  独りにならずに一人でいられる社会
   『歎異抄』では「親鸞一人がためなり」という。


中島   阪神淡路大震災で、「何をお探しですか?」「位牌だ」
 僕にとってはその一言の衝撃が、地震そのものより大きかったんですよ。


中島  仏教は「私の本質なんてありません」と言い切っちゃうわけです。
    「私」は「縁」によって成り立っているというのが仏教ですよね。
    僕はその考え方にすごく救われた。まいったなと思いました。


中島  僕がこの1年で一番すごいことを言うなと思ったのが、
    浅田真央さんなんですよ。
   「亡くなったお母さんに優勝をどう報告しますか」
   「母はすぐ隣にいると思うので、わざわざ報告する必要はないと思います」  彼女にとっては、死者は隣にいる。




全休さんの   
〈聞其名号信心歓喜〉より


  (1) 弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、
    ひとえに親鸞一人がためなり。

 
 (2) 煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界はよろづのことみなもて
    そらごとたわごと実(まこと)あることなきに、
    ただ念仏のみぞまことにておわします。


が響いてきました。