なみだは いちばん小さな 海です

私の子供時代、能登の海辺に住んでいました。
郁代も、祖父母が住んでいたこの海で泳ぎました。
能登島に囲まれているので、年中波が静かでした。


〈折々のことば〉 108  鷲田清一

なみだは にんげんのつくることのできる いちばん小さな 海です
                                寺山修司

 どうしても譲れないこと、受け容(い)れられないこと。
あまりに悲しくてやりきれないこと。
小さな者たちの小さな、小さな抗議は、けして、けして小さくはない。
どっと押し寄せる波に溺れてしまいそうな大海ではなくて、
自分たちでじわりじわり広げてゆく海。
「小さな海」までひらがなが続くのがいい。
「いちばん短い抒情詩(じょじょうし)」の全文。
「愛さないの、愛せないの」から。
                         (2015.7.20)